センター長より

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インフラ長寿命化センター長 松田 浩

インフラ長寿命化センター長  松田 浩

平成24年に発生した笹子トンネル天井板の落下による凄惨な事故以降、我が国のインフラ老朽化対策については、国土交通省が平成25年をメンテナンス元年と位置づけ、11月にインフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議でインフラ長寿命化基本計画が閣議決定され、また、平成26年4月14日には国土交通省の有識者部会より道路の老朽化対策の本格実施、いわゆる「最後の警告」が提言されました。さらには、その1週間後に総務省からインフラ全般の管理計画について策定要請が出されるなど、今まさに施策面で大きく動いています。

インフラ長寿命化センターが設立されてすでに8年が経過しました。平成20年度からの道守養成講座も7年間継続してきたことになります。特定道守コースの特別講演会では、山梨大学の後藤聡先生に「家族を守る斜面の知識 -あなたの家は大丈夫?」のテーマでご講演していただきました。また、平成27 年1 月23 日に、「地方の道をいかに守っていくか」をテーマに、道守講演会を文教スカイホールで開催しました。岐阜大学の村上茂之先生に「メンテナンス時代の人材育成について」、東京大学の長井宏平先生に「市町村の橋梁維持管理の実態と今後のあり方」という演題での講演をお願いし、約110人の参加者がありました。

今年度は、文部科学省「成長分野等における中核的専門人材養成等の戦略的推進」事業により、5大学コンソーシアムでコアカリキュラムの策定にとりかかりました。その途中の平成26年8月に、社会資本メンテナンスの確立に向けて、「民間資格の登録制度の創設」の緊急提言が出され、11月に「公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格登録規定」が告示され、12月から公募が開始されました。
長崎大学の「道守」も、橋梁(鋼・コンクリート)の点検・診断、トンネルの点検に応募し、今年の1月末に、登録資格の一つとして認定されました。土木学会の上級土木技術者やシビルコンサルティングマネージャー(RCCM)など中央団体の資格が登録される中、地方団体の資格として唯一の登録となりました。
登録資格に認定されましたので、今後5年間、道守養成講座を継続していく必要があります。長崎県や市町、建設業協会、測量設計コンサルタンツ協会、そして長崎県建設技術研究センターとの連携がますます必要となります。また、国土交通大臣認定の登録資格ですので、長崎河川国道事務所などの国家機関との連携も深めていく必要があります。

また、今年は新たな試みとして、長崎市と「社会資本維持管理に関する覚書」を締結し、長崎市土木職の職員に対して、初級・中級インフラ研修を実施しました。さらに、JICAの支援により、ラオスの技術者7人を受け入れ、道路維持管理能力強化プロジェクトを行いました。
道守関連のプロジェクトとしては、広島大学オンサイトプロジェクト(平成26年11月14日)と、長崎県建設技術フェア(平成26年10月6~7日)への出展、シンポジウムとしては、市民シンポジウムin長崎(平成26年11月15日)を実施しました。
さらに、研究活動としては、諫早市の公共施設等総合管理基本計画策定業務、端島(軍艦島)遺構状況記録調査業務、さらには国土交通省の建設技術開発研究助成制度に「光学的計測法を用いた効率的・低コストな新しい橋梁点検手法の開発」が採択され、その研究を実施しています。

このように、道守講座が民間資格に登録されたのをはじめ、多くの活動を精力的に実施しています。その成果はFacebookに掲載して広報活動を行っています。
まだまだ成長の段階ですので、これまで以上に鋭意活動していく所存でございます。今後ともご支援を賜りますようよろしくお願いします。